「腸年齢」はいかがでしたか?実年齢より+5歳以上の人(特に【チェックB】の食生活に関する項目に該当したら)は、腸年齢が高いといえるそう。まずは食生活の見直しから始めましょう。
今回は、効率よく腸活するための、腸内細菌タイプ別の食生活アドバイスを、京都府立医科大学大学院医学研究科教授・内藤裕二先生に伺いました。
腸内細菌、タイプは5つ!
腸内細菌と腸内フローラとは?
「理想の腸」とは、多様な腸内細菌がいる腸とされています。腸内細菌は1000種類以上あり、腸内には約100兆個の細菌が生息していると言われています。この、細菌のかたまりを腸内フローラ(腸内細菌叢)と呼んでいます。3〜5歳までに獲得し、定着した腸内細菌の種類は変えられませんが、腸内細菌の数を増やし、腸内フローラをバランスのいい状態に導くことはできます。
腸活の目的は 腸内フローラを理想的な状態に導くことにあります。
腸タイプ別、食生活の最適解は?
京都府立医科大学大学院医学研究科の研究では、腸内細菌のタイプを5つに分類しています。
自分の腸内細菌のタイプは、クリニックや市販のキットなどで診断できますので、ぜひトライしてみてください。腸タイプを知り、最適な食生活を意識しましょう。
【A】高たんぱく・高脂肪タイプ

特徴:
• ルミノコッカス属、ストレプトコッカス属の腸内細菌が多い
• 肉類や揚げ物(唐揚げなど)の摂取が多く、動物性たんぱく質や脂質に偏りがち
• 野菜の摂取量が少なく、便の臭いが強い
改善策:
✅ たんぱく質の摂取源を見直し、魚や豆類を増やす
✅ 発酵食品を積極的に摂取する(納豆・キムチ・味噌など)
【B】バランス食タイプ

特徴:
• バクテロイデス科、フィーカリバクテリウム属の腸内細菌が多い
• 炭水化物、たんぱく質、脂質の3大栄養素をバランスよく摂取
• 食物繊維の摂取量が適切
おすすめの食事スタイル:
✅ 主食は米、主菜は焼く・煮るなどの調理法を選ぶ
✅ 食物繊維をしっかり摂取する
【C】アンバランス食タイプ

特徴:
• バクテロイデス属の腸内細菌が多く、フィーカリバクテリウム属が少ない
• 炭水化物に偏りがちで、野菜・副菜が不足している
• 食物繊維が圧倒的に少ない
改善策:
✅ 納豆、お浸し、サラダなど、発酵食品や食物繊維を意識して摂取する
【D】高たんぱく・高脂質・糖質が多いタイプ

特徴:
• ビフィズス菌(ビフィドバクテリウム属)、ストレプコッカス属の腸内細菌が平均より多い
• ファストフードやお菓子が好きで砂糖や脂質の摂取量が多い
改善策:
✅ ジュースはお茶に、お菓子は果物に置き換える
✅ 余分な砂糖を控える
【E】ヘルシー食タイプ

特徴:
• プレボテラ属の腸内細菌が多い
• 和食を中心とした食生活(野菜・魚が多く、肉の摂取が少ない)
注意点:
✅ 肉の摂取が少なすぎるとバランスが崩れるので注意
腸に良い食材を積極的に摂ろう!
全タイプ共通、食生活の改善ポイント
有用菌増やし、悪用菌を減らす
5つの腸内細菌タイプの内、Eタイプは日本人に少なく、Bタイプが増えているようです。傾向で言えば、ACDタイプの人は病気になりやすいです。そして、どのタイプにも共通していえる食事の改善ポイントは、有用菌を増やし、悪用菌を減らすこと。いいものを摂取しても、悪いものを摂取していたら効果がでません。
✅ 有用菌を増やす食品
• 食物繊維:根菜類、葉物野菜、豆類、海藻類、きのこ類、果物、全粒穀物
• 発酵食品:納豆、味噌、ぬか漬け、ヨーグルト、キムチ、ナチュラルチーズ、甘酒
• オメガ3系脂肪酸:青魚(サバ・イワシ)、えごま油、アマニ油、くるみ
• オリゴ糖:大豆、ごぼう、たまねぎ、ブロッコリー、アボカド、バナナ、にんにく
❌ 悪用菌を増やす食品
• 動物性たんぱく質(肉・脂肪)
• 糖分・塩分の多い食品(お菓子・加工食品)
• アルコール(できるだけ控える)
食物繊維は1日25g
中でも日本人が足りていなのは食物繊維です。今年の栄養摂取基準では、推奨する1日の食物繊維の摂取量は25gですが、達している人は少ないと思います。ちなみに25gはきんぴらごぼうの小鉢8杯分、かなり高いハードルです。まずは、白米を玄米にするとか、お味噌汁にはワカメをいれるとか、おやつにはキウイを食べるとか、5~10g増やすことを目標に、海藻、根菜、大豆など多様な植物由来の食物繊維を摂取していきましょう。
食材以外のチェックポイントも!
✅ 食事の時間を意識する
• 夜に食事の重心を置かない(朝・昼にしっかり食べる)
• アルコールは 睡眠の3時間前までに済ませる(腸への負担を減らし、睡眠の質を向上)
✅ 規則正しい生活を意識する
• 朝食をしっかり食べ、1日のリズムを整える
• 毎日同じ時間に寝起きする
• 体を動かし、適度な運動を取り入れる
最近のお年寄りが元気なのは、毎日同じリズムで生活しているのも要因の1つとされています。暗くなったら寝る、太陽の光を浴びるために起きる。生活のために体を動かす。簡単で単純なことですが、それができていないのが現代人。リズムをとることが腸活につながり、腸活をすればリズムがとれる。人間の基本的な生活様式が、腸活と重要な相互関係にあるのです。
今回教えてくれたのは…
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京都府立医科大学大学院 生体免疫栄養学教授 : 内藤裕二さん
医学博士。京都府立医科大学大学院医学研究科教授(生体免疫栄養学)。京都府立医科大学卒業。最新医学に精通し、多数の著書、論文の発表、各地で公演も行っている。消化器病学、消化器内視鏡学、抗加齢学、腸内細菌のエキスパート。
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